2024年12月の記事一覧
2024/12/27(金)「きざしつはる」
12月21日の冬至から日ごとに日が長くなってきますが、これからが寒さの本番。兼好法師の『徒然草』にこんな一節があります。「木の葉の落つるも、先づ落ちて芽ぐむにはあらず。下よりきざしつはるに堪へずして落つるなり」(木の葉は、葉が落ちてから芽が生まれるのではない。葉の下から芽を出し、その勢いにこらえきれないで散るのだ。/155段)というのです。自然のいとなみを通して、時代や人間のありさまを写す眼力が光っています。
「つはる」は、おなかに赤ちゃんがいるお母さんの「つわり」のもとになることばです。赤ちゃんの勢いが「つわり」を起こすのですね。この段で兼好法師は、物事を進めるには時機をわきまえる必要があるが、必ずやり遂げなければならないことは時機を言っている場合ではない、と言います。「いつやるか?今でしょ!」(2013年の流行語大賞)というわけです。
あじさい(写真/12月22日写す)を見ると、すでに芽吹いています。受験を控えがんばっている所高生と中学生のみなさま、この勢いですばらしい春を迎えましょう。
2024/12/24(火)フランス・オンブローザ高校からクリスマスカードが届きました
フランス・オンブローザ高校の藤原先生からクリスマスカードが届きました。ありがとうございます。2025年もよろしくお願いいたします。このご縁が末永く続きますように。
2024/12/23(月) 2学期終業式あいさつ「ふつう」は「ふつうでない」
インフルエンザや風邪症状の人がふえ、12月18日には県内の「流行注意報」がでました。先週には学級閉鎖のクラスが出てしまい、ここにきて欠席者が増えてしまいました。体育館で一堂に会するのは感染を広げてしまう恐れがあるため、校歌演奏や表彰を体育館で行いながらも全校生徒には教室でライブを見てもらう形に変更しました。
年末年始は人の動きも多く、感染がさらに拡大しないかと心配です。予防のため、手洗いや換気、適度な湿度を保つなど、注意を払ってもらいたいと思います。
さて、2学期の終わりにあたり、「ふつう」とは何かを考えてもらいたいと思います。
みなさんがイメージする「ふつうの人生」とはどのような人生でしょうか。何かを聞かれて「ふつう」と言ったり、味を聞かれて「『ふつう』においしい」と言ったりするのを聞きます。みなさん「ふつう」ということばが好きみたいです。私も、高校生の時には「ふつうの人生」ありふれた、あたりまえのコースをたどるのかなあと漠然と思っていました。
こんなデータがあります。2009年3月に卒業した全国の中学生を1000人としたときに、何人がどういう進路をたどったかを示すというものです。1000人のうちの970人が高校進学→896人が高校卒業→413人が4年制大学進学(現役進学者のみ)→331人が4年で卒業→240人が就職(正規雇用のみ)→163人が3年以内に離職せず(以上すべて1000人中)というのです。(出典:『現場で使える教育社会学―教職のための「教育格差」入門』187p(中村高康、松岡亮二編著/ミネルヴァ書房2021年)
卒業して就職した会社に定年まで勤めるのが「あたりまえ」「ふつう」と言われてきました。じつは中学校卒業から10年間で1000人のうち837人が異なる進路をたどっており、この段階でいわゆる「ふつう」は16%に過ぎなかったということになります。
これからもっと「ふつう」であることが「ふつう」でない時代になっていくのです。一人ひとりに注目すると、それぞれに違いがあって、「十人十色」「生徒の数だけ色がある」所高でも、いっぽうで「これが『ふつう』」という基準をつくりだしていますよね。けがしたときなど、これまで簡単にできていて「ふつう」だと思っていたことが、「ふつう」なのではなく、とてつもなく恵まれたすごいことだったことに気づき、今まで見えなかった別の景色がみえてくることがあります。といって、そのためにけがをするのも大変です。現実から想像を通していかに学んでいくか、自立した学びが必要になるのです。
ことし10月には、史上最大の素数が発見されたとニュースになりました。4102万4320桁といわれて想像もつきませんが、どの数が素数か、規則性が解明されていないそうです。このように答えがわからない問いは分野にかかわらずころがっているようです。
先日、所高生と菓子メーカー不二家との共同開発によるスイーツ「ぷるぷる♪狭山茶のつや玉」について話を聞く機会がありました。2021年の総合的な探究の時間に、地元の狭山茶に光が当たっていないという問題意識から、商品開発を思い立った。さっそく電話、門前払いの会社もあったなか興味を持ってくれたのが不二家。企画を提案するにあたり「お茶を知らないと」とお茶の問屋さんに出向いて知識を仕入れ、茶摘みを体験、お茶のサンプルをたくさんいただいてきたとか。これらを携え、不二家でも熱心に耳を傾けてくださり、企画が動き出したそうです。
この「沸点の低さ」「フットワークの軽さ」「協力を引きつけるフックの力」と、力押しにも見えるプッシュ。所高生の強み「3つの『フッ』プラス『プ』」が全開となっています。教育の場では「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」と言われます。魚を与えるのはそのときだけで終わりますが、魚の釣り方を教えると、この先も繰り返し魚を手に入れることができるからです。所沢高校はそういう学校だと感じています。その意味での舞台装置が総合的な探究の時間だけでなくいろいろとあります。自立した学びの入り口と言っていいと思います。
それではよいお年をお迎えください。
2024/12/20(金)目が開かれる思いです
今週、全日制では助産師の櫻井裕子氏から「プレコンセプションケアについて」、ヤングケアラーコーディネーターの田中悠美子氏と経験者の高橋唯氏から「ヤングケアラーについて知ろう」など、興味深いお話をうかがう機会がありました。プレコンセプションケアについては、とくに生徒の関心が高かったようで、質問がつぎつぎに寄せられたようです。
また、定時制でも青年海外協力隊員としてアフリカの国々で活躍した経験のある日本語教師の鈴木聡氏、県立総合教育センターの澁澤隆美指導主事をはじめJICA(ジャイカ/国際協力機構)の方々から「世界に目を開く」というお話をしていただきました。鈴木氏からはほぼ1時間英語で講演していただき、さまざまなご経験をお聞きし目を開かれる思いでした。
このホームページにそれぞれ報告がありますが、第一人者の方々からのお話を聞くことができるのも学校に通う意味があると感じます。
県内や東京では12月18日(水)の夜に初雪が観測されたと聞きますが、所沢では小雨でした。定時制の行事に参加し所沢駅に向かうと、大きなクリスマスツリーが彩られていました。(12月18日20時ごろ写す)
2024/12/18(水)ベートーヴェン「第九」に乗せて
日本では年の瀬の風物詩となっている観があるベートーヴェン作曲の交響曲「第九番」を聴いたことがあるかと思います。ことし2024年は、日本人の演奏により「第九」演奏会が東京音楽学校(現在の東京藝術大学)で初演(1924年11月)されて100年の節目の年となりました。日本で最初に「第九」が演奏されたのは、これに先立つこと6年、1918年6月のことです。会場は当時徳島県にあったドイツ兵俘虜(ふりょ)収容所でした。とらえられた捕虜のドイツ兵たちの強い希望だったというわけです。
「第九」には4つの楽章があり、通して演奏すると1時間以上かかる大曲です。第4楽章は「歓び(の歌)」で知られますが、出演する独唱ソリストやオーケストラの背後に並ぶおおぜいの合唱団は出番まで1時間近く待つことになります。それほどの曲ですから準備にも時間と経費がかかり、たくさんのお客様に来ていただかないと大赤字…と、演奏会を催すにも大変な苦労があったはずです。
「第九」は平和と人類への愛、友情をテーマにしています。「歓びの歌」は、「互いに抱き合おう」と繰り返されます。ベートーヴェンが「第九」を作曲した1824年ごろといえば、ヨーロッパやアジアで戦争が続き、伝染病も蔓延し多くの人が命を落とします。貴族から奴隷まで身分の分断も激しかったはずで、なんとなく現在に重なります。
「非日常のものだ」と思っている戦争は、簡単に日常を侵す可能性があります。こんにちの世界の動きを考えるとき、一人の、あるいは少数の政治家の決断がどれだけの自国と他国の人々の生活を変え、当事国だけでなく世界中を不幸にしてゆくかがわかると思います。作曲者とともに演奏を通して表現者は受け手へのメッセージも乗せているはずで、込められたメッセージに改めて思いをいたしたいと思います。
2024/12/17(火) 御母堂様の大切なお品、大切に活用させていただきます
過日、市内にお住いの孫田 正八様より、本校茶華道部の活動に役立ててほしいとのことで御母堂様がご生前大切にされてきた花器や手作りのお品を御寄贈いただきました。
ありがとうございました。御寄贈いただいた品を大切に活用させていただきます。生徒のみなさんには御母堂様のお気持ちを生かし、専心に励んでほしいと思います。
今後とも、本校の教育活動にご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2024/12/12(木)漢字の日・今年の漢字
きょう12月12日は、(公財)日本漢字能力検定協会(漢検)が1995年に制定した「漢字の日」だそうです。「いい字一字」のごろ合わせで(イイ(=1)ジ(=2)イチ・ジ(=12)と読むところからとのこと。「今年の漢字」は京都の清水寺で貫主さまが揮毫して発表されますが、その漢字は「金」…今年開催されたオリンピック・パラリンピックでの日本勢の活躍や、政治家の「裏金問題」など拝金主義が横行、佐渡金山の世界遺産登録など、「金」をめぐる話題が多かった一年でした。過去にもオリンピックの年には選手の活躍を称えるなどで、「金」が選ばれ(2021・16年)ていました。
みなさんにとっての「今年の漢字」を1字で表すとしたら、どの漢字になりますか?
2024/12/10(火)12月9日は所沢でも氷点下に
全日制・定時制とも期末考査が続いています。受考のようすを廊下から見ていると、生徒は真剣に考査に挑んでいます。きのう9日(月)は所沢での最低気温が0℃を切り-0.4℃(アメダス記録による)だったとのこと。きょうはそれほどの低温ではないようですが、市内の高校で学年閉鎖になっている学校もあると聞きます。体調には十分気をつけてください。
朝だけでなく考査中にも通路から富士山がきれいに見えました。所沢高校からそれほど遠くない荒幡の地にも「富士山」(荒幡富士)があり地図にも載っています。この山の「登山口」には浅間神社が祀られており、富士山が信仰の対象であったことがわかります。私もここで「富士登山」に挑んだ(?)ことがあります。
(3階通路から10時55分頃写す)
2024/12/6(金)「所沢 SecletBase(シークレットベース)」で活動する所高生
12月6日(金)の午後、子どもの「居場所をつくる」支援を行うNPOで活動している所高生から「地域とコミットした活動について発表するから来てください」とのことで、子ども地域ネットワーク所沢・活動報告会を聞きに行きました。
所高3年の戸田瑛登さんと2年の大河原彩翔さんが登壇、「所沢SecletBase」という活動を行っているそうです。市内には不登校児童生徒が800人、支援の手が必ずしも届かず、支援を求める人はもっと多いはず。午前は不登校の子どもの居場所として、午後(放課後)は高校生などの活動拠点として、所高生はじめ高校生主体で運営するとともに、さまざまなイベントを仕掛けている。父の転勤に伴い引っ越し先の学校で当初溶け込めずにいた体験もあり活動に力を入れている。活動を通して地域の活性化にも貢献したいとのことでした。参加した方々から「わかりやすいプレゼン」「高校生の力量に感動」などのことばもありました。
会場には二人のほかにも所高生が参加していました。いつも感心するのですが、沸点が低い・フットワークが軽い・フック(外部とつながる)の「3つのフ」プラス「プッシュ」の押す・推す力は所高生らしい特質です。地域から期待される所高生、さすがです。
2024/12/5(木) SNSを悪用した犯罪を防ごう
定時制ではきょうから、全日制ではあすから期末考査が始まります。自習スペースは毎日フル活用されています。よき新年が迎えられるよう最善を尽くしましょう。
先週、所沢署の方にお話を伺う機会がありました。
所沢署管内でも「福祉犯」が減らない。「福祉犯」とは、少年の福祉を害する犯罪を指し、「闇バイト」なども含め、SNSが入口になることがほとんど。万一、SNSに起因する被害を受けた時には「犯人が証拠写真やメッセージが消してしまわないうちに」「早く相談」が重要。証拠がないと犯罪そのものの立件ができないので、一刻も早く相談してほしい。2024年2月には改正刑事訴訟法が施行されており、性犯罪などの被害者を守る個人特定事項秘匿制度により、犯人に氏名などが通知されないことが原則になっているので、被害を受けながら相談できない人や保護者に知らせてほしい。…とのことでした。
また、孫や甥(おい)、市役所や金融機関の職員を名乗る犯人が「会社での失態を弁償」「保険料の還付がある」などと電話をかけ、ATMを操作させたり、キャッシュカードを受け取りに来たりして、信じた被害者からお金をだましとる詐欺の手口があります。このような「特殊詐欺」の被害者は圧倒的に高齢者が多いです。中高生の子どもや孫(あなた)からご家族に注意するよう言ってもらえると、被害に遭う前に気を付けてくれると思うので、ご家族で話題にしてほしいとのことでした。