2024年8月の記事一覧
2024/8/30(金)2学期始業式あいさつ「所高生の強みと進路」
きょうも大変な天気になりました。この夏、県内でも大雨や強風で大きな被害が出ましたし、台風10号も予測がつきません。8月9日(金)には、幸い校内に異常はありませんでしたが、所沢で震度4となる地震もありました。9月1日「防災の日」を前に、考える機会にしてほしいと思います。
進学補講や部活動など、暑さなど厳しい条件ながら練習や大会など頑張っている生徒に何人も出会いました。このあと伝達表彰も予定されていますが、きょう紹介したいのが所高生のプレゼン能力の高さです。化学部は地域で子ども向けの実験活動をしていますが、所沢市長や教育長から高く評価され感謝されたと聞きました。インターアクト同好会の報告会も見せてもらいましたが、多くの経験と人間関係づくりにつながったようです。先日、所高生のプレゼンを聞いた校長先生がわざわざ私に「すばらしかった」と連絡をくれたりしました。
これを踏まえ「所高生の強みと進路」についてお話ししたいと思います。
これまでの入試は主に知識と技能を問うものでした。いまは社会動向を踏まえ、入学者の多様性を確保し、学ぶ姿勢や能力を評価するようになっています。知識・技能に加え、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性など文系理系にとらわれない知識や能力を要求してきます。
共通テストも複数の資料文を比較するなど、これまでにないスタイルの設問が増えました。総合型選抜では志望理由書をはじめ資格の証明などさまざまな書類を求められるほか、面接、論文、プレゼンテーションなどを組み合わせて課されるようになり、甘い入試ではなくなりました。
志願者を学力尺度だけで選ぶ入試から、「高校時代に○○○○を身につけたあなたにこそ来てほしい」と働きかける入試になったといってもいいでしょう。所高生にとって悪くない話だと思います。風が吹いてきました。旧来の入試だと他校の生徒に負けていたかもしれませんが、これからは所高生がリードすると思います。
部活動でも実行委員でも、校外の活動でも同じですが、成功の秘訣を一言でいえば「必ずしも利害が一致しない人に味方になってもらう」ことだと考えます。
身近なところで、例えば予算折衝で役員にかけあう、練習方針を浸透させる、自分がやりたい企画を通す、練習試合のとき体育館やグランドの都合をつけてもらう、試合や発表の応援に来てもらうなど、利害が必ずしも自分と一致しない人を味方につけられるかどうかが成功への第一歩です。
所高生の強みは、入学時から「利害が必ずしも自分と一致しない人を味方につけられる」ように動き方を身体にしみこませてきていること。自由になるためには技術もいりますが、動き方の技術の実例が身近にあること。大きな組織から小さい組織まで他人を動かす役割に手を挙げる人がたくさんいること。フットワークが軽いこと。発火点が低く、すぐに火が付くこと。ボランティアをはじめ、同世代だけでなく社会や地域にも開かれた人間関係を楽しいと思える生徒が多いこと。
昨年秋、所沢市で脱炭素社会の実現に向けたシンポジウムがありました。ことし3月、浦和高校や日本薬科大学を会場に総合的な探究の時間発表会がありました。所高からも有志が参加しましたが、発表内容ももちろんですが、その場で出される質問への対応が、トップと言われる学校の生徒と同じかそれ以上に素晴らしかったのです。
そこで終えてしまうのは惜しいというので、近隣の学校や社会人にも声をかけ、所沢版の探究発表会をやることになりました。実に見事でした。所高生の行動力は大したものです。突破力・破壊力と言ってもいい。あちこちから来てくれと言われるのもよくわかります。
所高生は以前から大学に入ってから伸びる、伸びしろがあるといわれてきました。そのうえ、所高生向きの入試制度になった、ゲームで言えば所高生に有利なルールになったのです。追い風が吹いているのに、早く決めたいからという理由だけで志望を落とす理由はないはずです。科目の中身を見ずに科目数が多いという理由で避けるのは所高生らしくありません。世の中の一般受験生と同じやり方なら同じ結果しか出ません。世の中一般と違う結果を出すなら、所高生の強みを最大限に生かすことを考えるべきです。
こんな仕事をしたい、こんな形で社会に参加したい、が固まって初めて、ふさわしい進路が決まってきます。思いを実現するのにふさわしいルートは大学だけかも含めて、あらゆる選択肢を検討、自己分析が大事です。
希望を実現したいという思いが揺れることなく決まって、ようやく入り方を検討できます。一般か推薦かの二択と言いたいのではありません。実現に向けてルートの選択肢を増やし、実現の可能性を高めるということです。一つのルートしかなければ失敗したらそこまでですが、ルートに選択肢があれば実現の可能性は高まるはずです。世の中の高校生にはないけれども、あなたの持つ強みは何か。強みをもとに、有利な方法を計算し、戦略を持つべきです。
優秀とされる大学ほど卒業後まで見据えたトータル「授業料」は安いです。経済面が心配なら、進路を妥協するのではなくよりハイレベルな大学を目指したいものです。
私の実感でもありますが、3年の秋から、さらには共通テスト以後学力が伸びる生徒が多いです。現時点の模試の判定に一喜一憂してもしかたがありません。進路に求められる能力に少しでも近づく、1点でも近づくための努力に時間をさくべきです。
来週は所高祭、2年生は修学旅行が続きます。3年生は具体的な進路実現の時が迫ってきます。最後まであきらめないでください。1・2年生にとっても勉強や部活動に大いに飛躍する学期です。期待しています。
2024/8/28(水) 二学期/野分(のわき)近づく
台風が日本列島に近づいています。8月30日(金)に始業式、31日(土)には土曜公開授業を予定していますが、台風の進路が気がかりです。清少納言は『枕草子』(188段)で「野分(のわき)のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ」と言っています。ちょうど立春から210日めぐらいの今ごろに秋の野をふき分ける激しい風を古く「野分」といいます。この時期のことですから台風を指していたのでしょう。野分の翌日は風景も一変してしみじみとした趣があるというのです。
この時期の強風を西日本の瀬戸内から紀伊半島のあたりでは「やまじ」「おしあな」といい、沖縄では「かじふち」ともいうようです。
イネが開花、実をつけ始める重要な時期であり、台風の時期や進みかたによっては農作物に甚大な影響が出てしまうことから、警戒して「二百十日(にひゃくとおか)」と言うのでしょう。
若手の頃、夏休み中の昼、勤務先の学校付近を台風が通過していったことがありました。部活動も補習も中止になり、風と雨が吹きつける音だけが響く学校で、理科の先生方と気圧計を見ていると、ぐんぐん気圧が下がるのがわかりました。この頭上に台風がいるんだなあと感じたことでした。
2024/8/22(木)全国高総文祭・埼玉県代表作品展に行ってきました
ただいま、全国高総文祭・埼玉県代表作品展がさいたま市のプラザノースで開催されています。
7月31日(水)~8月5日(火)に、岐阜県を会場に全国高等学校総合文化祭『2024ぎふ総文』が行われました。本校を含め県内50校から出演・出品されたのですが、そのうち美術工芸・書道・写真の各部門に県代表として出品された力作が展示されています。高校生のレベルの高さに驚くこと請け合いです。
期日 8月22日(木)~27日(火)9時~17時
※26日(月)は休館日・最終日は14時まで。
会場 さいたま市北区・プラザノースギャラリー(ステラタウン隣接)
2024/8/20(火)「青信号」というけれど
8月20日は1931(昭和6)年のきょう東京の銀座や京橋の交差点に「青・黄色・赤」の3色で合図する自動交通信号機が設置されたことで、交通信号設置記念日なのだそうです。
信号の色は「みどり」に見えるのに「あお」信号というのはなぜなのでしょうか?
公安委員会告示である「交通の方法に関する教則」にも「信号が青になつてから」「青色の灯火」などとあります。
「赤」「青」および「黒」「白」は、色の名前(名詞)ですが、「あかし(あかい)」「あをし(あおい)」「くろし(くろい)」「しろし(しろい)」という形容詞でもあることです。多くの場合、色の名前として、たとえば「黄色」と言えますし「黄色い」とは言えますが、「~色」を抜いて「黄し(黄い)」とは言いません。形容詞になる「赤」「青」「黒」「白」は日本語として非常に古いことばだと想像できます。
和銅5(712)年に成立した歴史書『古事記』を読むと、大国主命(おおくにぬしのみこと)が詠んだ歌の一節に、「鴗鳥(そにどり)の 青き御衣(みけし)を まつぶさに 取り装ひ…」とあります。(鴗鳥(=鳥の「かわせみ(翡翠)」)のような青いお召し物を細かに正しく身につけて…)1300年以上前からあることばだとわかりますが、ここで気をつけなければいけないのは、「青し」という形容詞の指す色の範囲が現在の「青」よりも広く「緑」や「グレー」なども含む広い範囲を指していたようです。
時代が下り「あお」と「みどり」が異なる色として区別されるようになりますが、「みどり色」に含まれそうな色は「浅黄(あさぎ)色」「葦葉(あしば)色」「若草色」など、数多くあります。ちなみに「みどり」の語源は「みずみずしい」であり、つやのある髪を「みどりの黒髪」と言ったり、生まれたばかりの赤ちゃんのことを「みどりご」と言ったりするのはこのあたりから来ているのですね。
野菜や果物をまとめて「青果」といいますが、さまざまな色を持つ野菜を「青(物)」と言うなら、信号の色は当然「青」となりますね。
2024/8/19(月)不安定な天気が続きます。体調管理にご注意
先日の所高オープンスクールや西部地区進学フェアにお越しくださいました中学生のみなさんは「夏が勝負」と学習に励んでいらっしゃることと思います。体調にも気をつけ、夏を乗り切ってください。
8月17日(土)は台風一過となったこともあり、所沢でも35.9℃と厳しい暑さとなりました。アメダスによれはきょう11時の段階ですでに気温が32℃、かなり湿度が高いです。熱中症が心配です。
先々週の8月9日(金)の夜には神奈川県西部を震源とする地震がありました。所沢では震度4となり心配しましたが、幸い校内に異常はありませんでした。
厳しい暑さもさることながら、晴れていたと思えば急に激しい雨、不安定な天気が続きます。繰り返しになりますが、体調管理にはくれぐれもご注意を。
夕方には虫の声を聞くようになりました。秋も近いようです。
2024/8/11(日) “スイッチオフ”の古い言い方
森鷗外『舞姫』は1890(明治23)年に発表された小説です。短編ですので読んでもらえると嬉しいです。
冒頭に、太田豊太郎がなぜ『舞姫』をつづるかを語る一節があります。場面はセイゴン(サイゴン/ホーチミン)に停泊する日本行きの船の中。同行の船客はみな現地のホテルで過ごしている。「今宵はあたりに人も無し、房奴(ばうど)の來て電氣線の鍵を捩(ひね)るには猶程もあるべければ、いで、その概略を文(ふみ)に綴りて見む。」(「ザ・鷗外―森鷗外全小説全一冊―」(第三書館)1ページ)というのです。「ボーイが客室をまわって消灯のためスイッチオフするにはまだ時間があるはずだから」ということですが、当時「電氣線の鍵を捩る」と言ったのですね。
なぜこんなことを思い出したかというと、8月7日(水)の夕方、電車が不通になるほどの激しい雷雨となりました。落雷をごく間近で見て、その音響の激しさと昼間のようにあたりが明るくなったことに驚き、恐怖を感じたのですが、雷はまさに「電気線」ですよね。
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本校ではきょう8月11日(日)から8月16日(金)まで学校閉庁日としております。保護者様から必要な連絡がありましたら、別にお知らせしてある本校アドレス宛にお願いいたします。確認後、学校から連絡させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
2024/8/7(水) 西部地区県公立高校進学フェアにお越しいただきありがとうございました
8月7日(水)川越市・ウエスタ川越で開催された「西部地区県公立高校進学フェア」にお越しいただき、本校ブースへ多くの方においでいただきました。心より御礼申し上げます。授業や学校生活、進路指導、部活動、行事など、たくさんのご質問をいただきました。みなさまの進学校選択の一助となれましたら幸いです。
本校へご関心をいただけましたら、学校見学会や授業公開などにお出かけください。お待ちしております。
令和6年度学校見学会のごあんない
令和6年
8月31日(土) 授業公開
10月 5日(土) 第2回 学校見学会
11月 2日(土) 第3回 学校見学会
11月16日(土) 授業公開
11月30日(土) 第4回 学校見学会
令和7年
1月11日(土) 第5回 学校見学会
今後ともよろしくお願い申し上げます。
2024/8/6(火) 所高卒業生も頑張っています
この3月に所高を卒業、現在大学1年生の卒業生からお手紙をいただきました。お手紙には「高校生活とはうってかわって授業のスピードについていくことに精一杯ですが毎日楽しく」「食品学という授業はタンパク質や糖について学んでおり、一番好きな授業です。高校で習った化学の知識を活用しながら頑張っております」「(高校時代は積極的に立候補することはなかったが)文化祭の実行委員に自ら挑戦しました」とあります。
ご自身も「早くも成長を感じ」るほど充実した大学生生活を謳歌しているようで、こちらもうれしく思います。資格を生かした職への就職に向け、学外でもいろいろな資格に挑戦するそうです。ご活躍を期待しております。先生方とも共有させていただきました。
2024/8/1(木) 甲子園球場開場100周年おめでとうございます
きょう8月1日は高校野球でもおなじみ阪神甲子園球場の開場100周年の記念日だそうですね。甲子園球場が完成した大正13(1924)年は「甲子(きのえね)」の年に当たっていました。
古く中国には陰陽五行説という考え方があります。「この世のすべては『陰』『陽』の二つに分けられる」「すべてのものは『木』『火』『土』『金』『水』の五つの元素に分けられる」という考え方で、このことは7月18日のこの欄で紹介しました。
「陽」を「兄(え)」「陰」を「弟(と)」とすると、組み合わせは「き(木)のえ(兄)」「きのと(弟)」「ひ(火)のえ」「ひのと」(きのえ=甲、きのと=乙、ひのえ=丙、ひのと=丁…と漢字をあてます。)というぐあいに10通りになります。これが「十干(じっかん)」です。
時や方角など、身の回りをとらえる考え方には、さらに古くから「十二支(じゅうにし)」があります。2024年は「辰(たつ)年」ですが、十二支と十干を組み合わせると60通りの組み合わせができます。これが「干支(えと)」で現在まで広く使われているのです。
生まれた年の干支は60年たつと一巡します。10通りと12通りの最小公倍数ということで、これが「還暦(かんれき)」です。ことしは「甲辰(きのえ・たつ)」の年ですが、昭和39(1964)年生まれの人が還暦の年に当たります。生まれた年に戻るというのですね。
干支で年号を表すと1924年が「甲子(きのえ・ね)」にあたり「すべてのはじめの年」という縁起のよさなどから「甲子園」球場と名づけられたものと思います。くわしくは古典の時間に扱うことになると思います。