校長日誌

2023年9月の記事一覧

2023/9/29(金)きょうは「中秋の名月」

 きょう9月29日は旧暦8月15日に当たります。旧暦では七月八月九月が秋ですから、今夜は「中秋の十五夜」です。現代では飲食店が競って「月見○○」を売り出しますが、昔から人々は月にはロマンを感じたようで、いまから千年ほど前、平安時代初期の『竹取物語』には、この日にかぐや姫が月の都へ帰っていく場面が描かれます。(この部分はぜひ古文で読んでもらいたい!)

 月からの使者を待たせ、かぐや姫は帝の意に添わなかったことを詫び、別れを告げます。形見に「不死の薬」を残します。かぐや姫は使者に天の羽衣を着せられると月の都の人となり、竹取の翁のことも何もかも忘れ月に昇っていきます。かぐや姫を離すものかと武士たちが戦いを挑みますが、まったく体が動きません。帝は「かぐや姫なきあと、不死の薬など何の役に立とうか」と、天にもっとも近い山の頂で薬を燃やしてしまいます。

 話は「不死の薬を燃やしたから『ふし(富士)』というのだ」と行きそうなところですが、ちょっと外してきます。「帝の命令により多くの武士たちを引き連れ山に登ったから、この山を『士に富む(=富士)』という」というのです。

 美しい月が顔を出すはずですが、あいにくの曇り空。見事な月の姿を拝みたいものです。

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2023/9/28(木)所沢市ゼロカーボンシティ・シンポジウム

 9月28日(木)の夕方、所沢市民文化センターミューズにて「ゼロカーボンシティ・シンポジウム」が行われました。所沢市はこの活動を全市を挙げて推進しています。

 シンポジウムは3部構成で「マリカ先生の環境講座」では、絶滅危惧種のウミガメの雌雄はどのように決まるのか、ライチョウの種はなぜ激減したのかなど、クイズ形式とマジックを織り交ぜ地球温暖化や気候変動についてのお話がありました。NHK番組プロデューサーの堅達京子氏からは「気象変動の最前線」と題する講演があり、第3部として所高2年小林由佳さんと所沢北高の1年生5名から「高校生からの提言」が提出されました。

 小林さんは、自身が力を入れているカードゲーム「2050カーボンニュートラル」について、楽しみながらまわりを巻き込み社会の動きを考えることでSDGsやカーボンニュートラルの行動につなげたいと述べました。こう考えたきっかけは、長野市の公園をめぐるトラブルに象徴される地域や世代の分断を減らせないかと考えたこと。年長者は「以前はこれほど暑くなかった」と言うが、自分たち若者はそういうものだと感じており、自分の問題として温暖化を考えにくいのではないか、と述べました。

 フロアから所高2年佐々木くんが、まずは周知と可視化が重要で、認知度を上げることが必要だと発言。これを承け小林さんは、自分たちの住むところは自分で守る、分断をあおるのではなく、いろいろな世代をつなぎたいと述べ、大きな拍手を浴びていました。参加者からは「高校生の発表に感動」「いろいろと気づかされた」「行動力に圧倒された」などの感想が出され、閉会後も参加者から次々に声をかけられていました。

所沢市ゼロカーボンシティ・シンポジウム 所沢市ゼロカーボンシティ・シンポジウム 所沢市ゼロカーボンシティ・シンポジウム

 

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2023/9/24(日) 修学旅行で阪神・淡路大震災(1995年)をイメージする

 所沢高校はただいま修学旅行中です。その様子は「今日の所高」に載ると思いますので、違う視点から記録しておきたいと思います。

 第一日は旧神戸市立二葉小学校で震災体験学習を行いました。1995年に起きた阪神・淡路大震災でこの学校は避難所になりました。現在「ふたば学舎」として地域のコミュニケーション拠点になっています。

 被災経験のあるボランティアの方からお話を伺いました。生徒がどよめいたのは「公助」の少なさでした。お話では、救助された人の7割弱が家族も含む「自助」、3割が隣人等の「共助」により救助されており、「公助」である自衛隊や救助隊による救出は2%に過ぎなかったとのこと。一般に、災害時の助けとなる割合は、自助=70%、共助=20%、公助=10%といわれます。その後2004年の新潟・中越地震、2011年の東日本大震災などの災害が続き、その都度避難所が開設されましたが、阪神・淡路大震災で得られた避難所運営のコツや知恵が活かされておらず、同じような悲劇が繰り返されていると感じるとのこと。

 まず、ダンボールで住むところ(かこい)をつくり、グループを家族と見立て、避難所生活が続いたと想定してどんな困難があるかを想像しました。段ボールも各自勝手に並べる「島」ではなく「半島」としてつくり、中央に通路を確保することが必要とのお話をお聞きし、なるほどと思いました。避難所の清掃など、中学生や高校生など若い人が動くとまわりの大人が触発されて動き出す効果もあり、若い人の力と波及効果は大きいとのお話でした。

 お話の中に、所沢の地形や断層、所沢市の避難所開設計画などのデータを織り交ぜてくださり、自分のこととして聞くことが出来ました。避難所でのペットの扱いも自治体により対応が異なるそうです。

 不安定な天気が続いた先週、近くで落雷があり、学校の高架水槽の揚水ポンプが破損、水が出なくなってしまいました。学校近隣のボウリング場・所沢スターレーン様のトイレを急遽お借りし助けていただいたのですが、半日の断水でトイレが真っ先に問題になりました。避難所ではトイレ問題が最初に起きるとのお話に、大きく納得したことでした。

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2023/9/19(火)きょうは「糸瓜(へちま)忌」

 きょう9月19日は「糸瓜忌」、俳人・正岡子規(まさおか・しき/1867~1902)の命日にあたります。「子規」とは鳴き声の美しいホトトギスという鳥のこと。重い病気で血を吐く自分自身を、血を吐いても鳴き続けるというホトトギスに重ねたといわれます。

 折りしも、秋季高校野球県大会が行われています。この人は日本にベースボールが紹介された初期、ゲームに熱中し広めました。幼名である「升(のぼる)」をもじって、ある時期「野球(のぼーる)」という俳号を用いたほどです。(まだベースボールに対する「野球」という日本語は存在しなかったそうです。)

 また、「バッター」「ランナー」などのことばに初めて「打者」「走者」などの日本語を当てたことでも知られています。現在も一般に使われることばになりました。英文を解釈するにあたり、日本語にふさわしいことばがないときには、創作するしかありません。気の遠くなるほどの時間をかけたものと思われます。こんな話を知ると、国語の授業も興味深く話を聞くことができるのではないでしょうか。

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2023/9/14(木)「やさしい日本語」を学ぶ

 本校の若手の先生向けの研修会を行いました。テーマは「『やさしい日本語』とは?」

 「やさしい日本語」のきっかけは、阪神淡路大震災(1995年)にあります。外国人被災者向けに、英語での情報提供が発災から半日後に始まりましたが、英語が分からない人も多かったことです。

 「やさしい日本語」とは、外国の人に分かりやすいように配慮した日本語をいいます。ポイントを押さえれば、だれでも使うことができます。また、外国の人にわかりやすいということは、日本語をふだんから使う人にも分かりやすいはずです。子どもや高齢者、ハンディキャップを持つ人への分かりやすいコミュニケーション手段の一つと言えます。

 ポイントは「ハサミの法則」(話すとき、「はっきり」「さいごまで」「みじかい文で」)にあることを学び、実際に学校でよく聞く表現をやさしい日本語に直してもらったりしました。

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2023/9/9(土)ご来校ありがとうございます・土曜公開授業&第2回学校説明会

 9月9日(土)は、本年度7回目の土曜公開授業を行いました。多くのご来校者に所沢高校の授業を見ていただきました。学級閉鎖になってしまったクラスでは、教員が生徒のいない教室で(オンライン)授業をしている光景もありました。(自宅で授業を受けています。)

 午後には学校説明会を行い、2回に分けて学校紹介のほか、所高祭実行委員会・副委員長生徒からの文化祭説明、生徒による個別相談などを行いました。毎回のことですが、本校の説明会には「仕込み」「やらせ」はありません。ありのままを見ていただき、進路選択の参考にしていただければ幸いです。

 県内あちこちで学級閉鎖や学校閉鎖になっている学校があります。中学生のみなさまも体調には十分留意され、がんばってください。

 ご来校くださいました中学生、保護者のみなさま、ありがとうございました。

第2回学校説明会 第2回学校説明会 第2回学校説明会

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2023/9/7(木)ききょう(桔梗)の花

 ききょう(桔梗)という花があります。つぼみは小さな紙ふうせんのようで、青い星のような形の花が咲きます。平安時代には、当時の漢語の音から「きちかう(桔梗)」と呼ばれていました。「きちかうの花」と題する和歌を紹介します。

  秋ちかう野はなりにけり白露のおける草葉も色かはりゆく(古今集・巻十・物名・紀友則)

 意味は、野では秋が近くなり、朝の露に濡れる草や葉も色が変わってゆく、ということなのですが、この歌のどこが「きちかうの花」なのかというと、全部ひらがなで書くとわかるように歌に「きちかうのはな」が隠れているのです。このような趣向を「物名(もののな/隠し題)」といいます。古今集の巻十にはこのような趣向の歌がたくさん収められていますので、一度見てください。すると、こんな意味にも取れます。秋が近くなり、長くけなげに咲いていた桔梗の花が惜しくもしおれてしまった。

 暑い日が続きますが、朝夕は少ししのぎやすくなりました。気がつくと虫の声が聞こえています。

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2023/9/3(日)所高祭・後夜祭から

 9月2日(土)3日(日)の所高祭には多くのお客様にご来場いただきました。ご来場のみなさまに御礼申し上げます。ありがとうございました。

 印象に残った後夜祭についてメモしておきます。バンド演奏にはフォーク部に加え運動部有志も参加、自分たちだけの演奏にならず、会場との一体感を大事にしていることがよくわかりました。ダンスパフォーマンスでは、どのグループもキレがよく、時間を掛けて準備していることがよくわかる内容でした。MCもテキパキと進み、いたずらに引っ張らないところも好感が持てました。

 驚いたのは、ピアノ演奏があったこと。長く文化祭を見てきましたが、ピアノ演奏を披露する後夜祭は初めてです。演奏の水準も極めて高く、新鮮な感動がありました。3年生の漫才も一発ギャグを打ち続けるようなものと異なり、内輪受けでなくスベることもない正統派で、最後列で聴いていてもおもしろさがはっきり伝わり秀逸でした。こういうバラエティーこそ「文化祭」にふさわしいと感じました。

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