校長日誌

2023年4月の記事一覧

【校長よりお詫び】2023/4/21(金) 個人情報が入った文書の紛失について

 このたび、保護者への緊急連絡等に使用する「生徒の記録カード」1名分がなくなっていることが判明いたしました。このような事態が発生し皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけすることとなりましたことを深くお詫び申し上げます。

 今回の紛失についての概要は以下の通りです。

 前年度のクラスから今年度のクラスに書類を仕分けする際、職員室内の各クラスごとのレターケースで保管しておりましたが、うち1名分のカードがないことがわかりました。全職員で探索しておりますが、現在紛失したカードは見つかっておりません。

 引き続き紛失したカードの捜索に努めております。現時点では、第三者による不正使用等の事実は確認されておりません。今後も県教育委員会の指導を受け、二次被害の防止にも努めてまいります。また、生徒本人とご家庭には、すでに説明とお詫びを行っております。

 このような事態が発生したことを深刻に受け止め、改めて個人情報の管理を徹底するとともに、教職員一同、再発の防止に努めてまいります。

                      令和5年4月21日   埼玉県立所沢高等学校長  内田 正俊

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2023/4/14(金)「ブラタモリ」さながらの地学基礎の授業

 4月14日(金)地学基礎の授業で、所沢高校周辺の地形や地層を観察するというフィールドワークが行われるという話を聞き、2年6組の授業に混ぜていただきました。

 グラウンドを出て坂を下りると、弓道場のすぐ下が露頭となっており、レキ層、関東ロームと呼ばれる赤土層が観察できます。このあたりが川の流れにより形作られた地形であることが実感できます。(くわしくはこのホームページで地学部が説明しています。) >部活動>文化部>地学部>本校グラウンド裏の崖の地層

 テレビ番組の「ブラタモリ」でも「縁(へり)」がお好みのようですが、興味深い地形がごく身近で見られるおもしろい場所なのだと改めて感じました。造成工事を行っていた作業中の方々にもご配慮いただきました。感謝です。

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2023/4/8(土)入学式での校長式辞「所沢高校らしいハビドゥスを積み重ねていきましょう」

 今年は平年より、桜の開花・満開ともかなり早くなりました。地球温暖化を実感する人もいるかもしれません。それにしても未だ収束の見えぬ国際情勢をはじめ心穏やかならぬ日々には、桜の優しい色合いに心癒やされる思いがします。

 ご入学おめでとうございます。ただ今、入学を許可いたしました78期生359名のみなさん、心より歓迎いたします。そして、保護者のみなさま、お子様の凛々しい姿を見せていただきました。心よりお慶び申し上げます。

 みなさんには、ここまで見守ってくれた保護者の方々、ご家族、お世話になった方々へ感謝の気持ちを、できれば言葉で表してほしいと思います。そして、所沢高校という新たなステージで思う存分勉学や部活動に励んでください。

 さて、あなたはわからないことがあったとき、どのようにふるまってきましたか。

 「調べる」「まずは誰かに聞く」から「そのままほおっておく」まで、いろいろ考えられます。社会学に「ハビトゥス」という考え方があります。その人がこれまで身につけてきた文化のスタイルのことで、その人の習慣や行動やものの見方を方向づけるとされています。

 私たちが何かするとき、ゼロの状態から行われるのではありません。ある場面でどうふるまうかは、過去から積み重ねられた経験の中で取り込まれ、もはや内面化され身体の一部となっています。私たちは、ハビトゥスを通して自分が生まれ育った社会的条件の刻印が身体に刻まれているということです。

 自分の意思で行動していると思うでしょうが、その意思決定は、実は深くまで身体化されています。その結果、行動だけでなく趣味や話題まで、似た社会状況で生まれ育った人々の行為や認識の仕方が似てくるわけです。もっとはっきり言うと、私たちのふるまいから、経済的に、あるいは社会的に階層のようなものが浮き上がってくるということです。

 「分からないことがあったら調べる」や、「自分から進んで学習する」などの習慣や行動は、その人のハビトゥスです。教育が将来の職業生活につながることは想像がつくと思います。ざっくり言うと、教育は、社会に出たとき所得を増やし、生産性を高めようとする営みです。ここでいう所得とはお金のことだけではありません。個人では知識能力はもとより経験や人間性など教育の成果による一種の資本・財産を積み上げます。そして社会全体の生活水準の向上を目指します。

 他の生徒を見て自分の持つハビトゥスに気づくかもしれません。横断的に多様なコミュニティと結びつくことで、資本を獲得する環境を得ることができるのです。一歩外に出て、背伸びをして、これまでと違う世界を体験することが、自分の資本を積み重ねる良い機会となるはずです。ともに学び合い、これから所沢高校らしいハビドゥスを積み重ねていきましょう。

 きょうから保護者のみなさまと緊密な連携を図りながら教職員一同、78期生の心身ともに確かな成長に向き合ってまいります。これをご縁に本校へのご支援とご協力をお願い申し上げます。校長室にも気軽に声をかけてください。ドアを開けてあるときはいつでも歓迎です。

 結びに、みなさんが、所沢高校を選んでよかった、入学してよかったと感じ、来たるべきその時に向けてじっくりと考え、多くのことを積み重ねてくれることを念願して式辞といたします。


          令和5年4月8日   埼玉県立所沢高等学校長 内田 正俊

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2023/4/7(金) 令和5年度が始まりました(「10秒の壁」1学期始業式の校長あいさつ)

 おはようございます。4月に着任した校長の内田正俊です。豊岡高校から異動してきました。よろしくお願いいたします。

 今年は平年より、桜の開花・満開ともかなり早かったですね。桜は入学のイメージでしたが、卒業のイメージに近づきつつあるような気もします。地球温暖化を実感する人もいるかもしれません。それにしても未だ収束の見えぬ国際情勢をはじめ、心穏やかならぬ日々には、桜の優しい色合いに心癒やされる思いがします。

 この4月から国や県のコロナへの対応方針が変わり、学校生活でもマスクの着用は不要というのが基本となりました。混んだ電車に乗る時や人と人との距離が取れないときなどはマスクをしたほうがいいように思いますが、状況を踏まえて各自ご判断ください。

 さて、新学期のはじめにあたり、「10秒の壁」の話をします。

 陸上競技の100m競走で、かつて人間には10秒を切るのは不可能だといわれてきました。10秒台が限界だと言われ、「10秒の壁」は厚い壁となって立ちはだかってきました。

 初めて10秒の壁を破ったのは、1968年メキシコオリンピックと言われます。手動計時ではそれまで9秒台を出した天才選手もいましたが、近年は1000分の1秒単位で電気計測されています。このオリンピックでアメリカのジム・ハインズという選手が9秒95を記録したのが知られています。この記録は標高2240mでの高地記録という注釈付きの記録です。一般に標高が高いと記録は出やすいというわけです。

 日本では、それから45年後の2013年春に当時高校3年の桐生祥秀選手が10秒01を出し、大ニュースになりました。さらに4年後の2017年9月、彼は初の9秒台、9秒98を出しました。その後は「10秒の壁」を破る選手が続々と現れたことも周知のとおりです。

 哲学者の多木浩二(1928~2011)によると、人間の能力が高まって100mの壁を破ったのではなく、100mを10秒以内で走ることができるという情報が「10秒の壁」を破った、不可能と思われてきたことが「できた」という情報によって壁が破られるというのです。

 ひとつの情報は別の情報を引っ張り込む特性があります。Aの情報と、Aとまったく別のBの情報が合わさって大きな発見につながることがあります。身近な例で、雑談の一言が記憶やアイディアを呼び起こすことがあるのはご存じのとおりです。情報の組み合わせによって、見えなかった本質が見えてきます。

 「情報」informationということばは、ラテン語由来のことばで「心・精神に形を与える」という意味があるそうです。formはもともと「形づくる」ことを意味しており、理解できる形にすることがインフォメーションです。とらえることのできないものは、ないのと同じです。形が与えられ、見えるようにするため、ともに学び合っていきましょう。

 校長室にも気軽に声をかけてください。ドアを開けてあるときはいつでも歓迎です。

 最後になりますが、明日には新入生が入学してきます。しっかりとした目標を定め、上級生として、新入生をリードして、所沢高のさらに良い伝統を作ってください。みなさんが、学びつづける姿を、楽しみに見守りたいと思います。

いちめんに菜の花

(出勤の時、いちめんに菜の花が咲いていました。)

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