校長日誌

2024/12/3(火)~紙の辞書を使う意味~

 論理表現(英語)の授業を見ていて、紙の辞書を使っている人はほとんどおらず、電子辞書を使う人がやや多く、辞書そのものを使わずネット検索で済ます人も多い印象があります。紙の辞書だと重くてかさばるうえに発音を表すことができない。電子辞書なら持ち運びしやすく早いし手軽。スマホで済むならそもそも辞書も必要ない。ただ、ネットや電子辞書でクリックひとつで目的の単語に行き着く合理性は「他人が持っている情報を見せてもらう」ことと同じなので、記憶に定着させるとなると弱く、自分の使えることば(語彙)が増えていかないように思います。

 授業やこの欄を準備しているとき、複数の辞書を参照し見比べたいことがよくあります。電子辞書でも切り替えは可能ですが、異なる編著者が違った視点から説明するのを実感しながら読めるのは紙の辞書ならではです。ページをめくり目的のことばにたどり着くまでに、途中のページにひっかかり、迷っていた別のことが解決したり、どのような関連でことばが説明されているかに気づいたり、目的のことばの近くに並ぶ別のことばなどに気を取られながらようやく目的のことばにたどり着くなど、この過程こそがことばを使いこなすために大事だと感じます。