校長日誌

【全日制】令和8年度 入学式式辞

  武蔵野の面影を残すここ所沢の地に、春の息吹が力強く感じられる今日この頃。本日、ここに保護者の皆様のご列席を賜り、令和八年度埼玉県立所沢高等学校入学式を挙行できますことは、本校教職員一同、大きな喜びであります。ただいま入学を許可いたしました357名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。難関を突破し、自らの意志でこの「所高」の門を叩いた皆さんの瞳には、未来への希望と、少しの緊張が宿っていることでしょう。皆さんの入学 を、心から歓迎いたします。

  (混迷の時代を生きるということ)

  さて、皆さんが今日から踏み出すこの三年間は、どのような時間になるでしょうか。 目を外に向けると、現代社会はまさに「正解のない問い」に溢れています。加速する気候変動、絶えない紛争、そしてAI技術の爆発的な進化。数年前の常識が、翌日には塗り替えられるような、混沌とした時代を私たちは生きています。

 「自分一人に何ができるのか」——そんな無力感に襲われることもあるかもしれません。しかし、私は確信しています。この混沌とした課題を解決する鍵は、既存の枠組みに囚われない、若い皆さんの瑞々しい感性と、自由な発想の中にこそあるのだと思います。

 (三年後に手にする「力」とは)

 私はここで、皆さんに問いかけます。「三年後、皆さんはどんな姿でこの所高を巣立っていきたいですか」本校が皆さんに期待するのは、単なる知識の習得ではありません。この三年間で、以下の三つの力を磨き上げてほしいと願っています。

 1「思考力」と「創造力」: 溢れる情報に流されるのではなく、「なぜ?」と問い直し、自分なりの答えを紡ぎ出す力です。
 2「多様性を認める寛容さ」 異なる背景や意見を持つ他者と対話し、摩擦を恐れずに協働する力です。
 3「自律的に行動する力」 所高の伝統である「自主自立」を体現し、自分の人生の責任を取る勇気です。
これらは、AIには代替できない、人間ならではの力です。

 (所高という「実験場」を遊び尽くせ)

  所沢高校は、自由な校風で知られています。しかし、ここでの「自由」とは、単に何でもしていいということではありません。「自ら考え、判断し、その結果に責任を持つ」という、厳格な自己規律を伴うものです。失敗を恐れないでください。この三年間を、人生の壮大な「実験」の場だと捉えてください。行事で、部活動で、そして日々の授業で、大いに議論し、ぶつかり合い、時には挫折するかもしれません。その試行錯誤のプロセスこそが、不透明な世界を生き抜くための、皆さんだけの武器になるはずです。

  (結びに)

  保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。大切なお子様を、本日より本校でお預かりいたします。私たち教職員一同、一人ひとりの個性を尊重し、その可能性を最大限に引き出すべく、全力で支援してまいる所存です。家庭と学校が手を取り合い、共に成長を見守っていければ幸いです。

  新入生の皆さん。皆さんの発想が、誰かを救う手助けになるかもしれません。皆さんの言葉が、世界を変えるきっかけになるかもしれません。今日から始まる三年間が、皆さんの人生にとって最も熱く、最高の時間となることを心から祈念し、式辞といたします。

  令和8年4月吉日

         埼玉県立所沢高等学校 校長 井上 輝也