校長日誌

演劇部 関東大会で『プラヌラ』熱演

第54回関東高等学校演劇研究大会
『プラヌラ』 高石紗和子 作  とこえん 潤色

 12月23日から2日間にわたって栃木市栃木文化会館大ホールを会場に、第54回関東高等学校演劇研究大会が開催されている。

 関東大会は南北に別れ2会場での実施となる。栃木は北会場だ。埼玉、長野、新潟、群馬、栃木の各県の大会で選ばれた代表12校が各60分の上演時間で演技を披露する。南会場は神奈川県で、1月に13校の出場で実施される。
 埼玉県からは所沢高校、新座柳瀬高校、浦和南高校の3校が出場する。

南北2か所で行われる演劇の関東大会の北会場となった栃木市の栃木文化会館。

 所沢高校は初日9時30分からの開会式の直後に先陣を切って「プラヌラ」を演じる。
 開会式は関東高等学校演劇協議会会長のあいさつに始まり、審査員の紹介、そして生徒講評委員の代表、生徒実行委員長のあいさつと続いた。演劇に青春をかける高校生たちの熱気が伝わってくる。
 栃木市のマスコットキャラクターの「とち介」も登場し会場を盛り上げた。

写真左:栃木市のキャラクター「とち介」。上演中は撮影禁止だが、とち介の登場時に限り撮影OK。栃木市は川越市のように「蔵の街」「小江戸」を名乗る古い商業地。とち介の頭は、どうやら「蔵」のようだ。
右:生徒講評委員代表(女子)と生徒実行委員長(男子)が開会式の後半を担当した。

 予定通り10時に幕が開き、所校の演劇が始まった。タイトルの「プラヌラ」はくらげなどの幼生のことだが、社会の流れに乗れず、自律的に強く生きることができない存在を表している。
 高校生の部活動(水泳部)などの日常生活や人間関係の描写を通じて、部活動を止めて高校にも行けなくなってしまった主人公(まひろ)の生き辛さや周囲の人物たちの複雑な心理を描き出す。
 頻繁な場面転換と圧倒的なセリフのボリューム。テーマも決して分かり易いものではない。どうみても演じるのが難しい演目だろう。

 中盤で主人公まひろ(水村早希)の仲の良かった水泳部員のうめ(玉内麻菜)が交通事故で足に重症を負い二度と泳げない体になったことが回想シーンとして描かれる。その辺りから観客はやっとまひろが置かれた状況や彼女の心情を察していく。
 この作品では回想場面に加え、現実の発言ではない心の声を発する場面などが頻繁に挿入され多層的に場面が展開していく。描かれる場面の時間軸上の位置も前後する。

 まひろと幼なじみのけい(林巖)との運河を挟んだ長いラストシーンのやり取り。そこに到るまでの、特に後半の演技者のセリフは、1200人収容の大ホールでも鋭く観る者の心に届いた。幕が降りると会場は鳴り止まない拍手に包まれた。
 
大会パンフレット。左から表紙、目次(大会の次第)、所沢高校の紹介ページ。
 
 私が9月の文化祭で見せてもらった狭い社会科室での上演と比べると、舞台環境の違いもあるが、演技そのものはもちろん照明や音響の効果も含めて格段のレベルアップであった。修学旅行などで厳しい日程の中、ここまで完成度を高められたことは賞賛に値する。
 関東大会の大舞台にふさわしい堂々たるパフォーマンスに所高生の力量を実感した。上演後のロビーでは作者の高石紗和子さんも感激の表情だった。